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20巻「凶馬と玄徳」のあらすじと感想

20巻「凶馬と玄徳」のあらすじと感想

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官渡の戦い

○あらすじ
その後月日は流れ、曹操は各地の逆らう者を次々に滅ぼし、着々と勢力を拡大していた。

特に、西暦200年の官渡の戦いでは、曹操が北方の雄である袁紹を打ち破った。そして、曹操の次なる狙いは南方である。

ただ、そこには孫権率いる呉と劉備が身を寄せている荊州(君主は劉表)がある。

○感想
官渡(かんと)の戦いは、兵力の互いに譲らない曹操軍と袁紹軍の戦いでした。しかし横山三国志は主に劉備たちの物語であるためか、官渡の戦いについては少し触れてあるだけです。

そこで、吉川英治の小説版をもとに官渡の戦いの要点をご紹介します。

まず、呉が曹操に従うことで、袁紹は孤立しました。そこで袁紹は打倒曹操の軍を挙げたのです。その兵力は70万人。

曹操も大体互角な兵力だったようです。両軍は官渡で激突します。

初戦は張遼と張コウの互角な一騎打ち、許チョと高覧の戦いなどがあり、曹操軍の夏候惇と曹洪(曹操の弟)が敵の伏兵に弩などでやられました。曹操軍の負けです。

次に、曹操軍が投石車(霹靂車)という科学兵器を作り、袁紹軍の櫓を粉砕しました。一方、袁紹はもぐらのようにトンネルを掘らせて対岸に行こうとしましたが、水を引き入れられて失敗しました。

次は、韓猛という袁紹軍の武将が食料を輸送していましたが、徐晃が食料を火計で焼いてしまいます。

この頃から、大軍を率いる両軍とも食糧不足に悩んでいました。そこで曹操は荀彧に手紙を出し、食料を輸送してくるように求めていました。しかし、その手紙が袁紹の部下である許攸(きょゆう)に見つかってしまいます。

許攸は袁紹に、荀彧が都から食料輸送隊を派遣したのであれば、逆に都は手薄になっているので、自分が別働隊となって許昌を急襲すると進言します。

しかし袁紹はその案を却下します。許攸は怒ります。彼は曹操の幼馴染なので、曹操に投降してしまいます。このとき袁紹が許攸の案を採用していれば、天下は袁紹のものだったでしょう。

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烏巣

許攸は曹操に、袁紹軍の食料のある烏巣(うそう)を焼き討ちするように進言します。ここを守る淳于瓊(じゅんうけい)という男は無能だからです。

そこで、曹操は自ら軍を率い、自軍の兵に袁紹軍の服装をさせる偽装をして、まんまと烏巣の焼き討ちに成功します。これで袁紹軍は非常に厳しくなりました。

このとき、袁紹軍の沮授は烏巣が襲われる危険性を説いていたのですが、袁紹は聞く耳を持ちませんでした。やはり袁紹は愚かな男です。

続けて曹操軍は、兵を3つに分けて敵を分散させるように仕向けます。その後、3軍は一気に袁紹の本陣を襲い、袁紹は敗走します。

敵将の高覧と張コウも味方に加え、曹操はこの大きな戦いに勝利しました。


劉備

一方劉備は、汝南(じょなん)を譲り受け、いよいよ一国一城の主に返り咲きました。

そして、曹操が袁紹との戦いをしている間に、数万の兵を率いて都に攻め上ろうとします。しかし曹操は官渡の戦いに勝ち、劉備の動きに気づいて急いで南下します。

曹操軍のあまりの速さに驚いた劉備たちですが、曹操軍と戦います。しかし、一向に攻めてこない曹操軍を疑問に思っているうちに、曹操はある軍は劉備の食料隊を襲わせ、ある軍は遠く迂回して汝南城に迫ったのです。

劉備たちは追っ手を退けながら苦しい退却を迫られ、荊州の劉表の元に身を寄せました。

都が空いているのを見て攻めるとは、劉備にしては積極的な戦でしたが、まず曹操軍とは兵力の差がありすぎるでしょう。でも曹操軍がもし袁紹に負けていれば、よい戦法だったかもしれません。

結果から言えば、せっかく自国を手に入れたのですから、呉や劉表と手を結ぶなどして国力増強をはかったほうがよかったと思います。

7ページ、勇壮な万里の長城がリアルに描かれています。

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江夏の乱

劉備たちは食客としてお世話になっているお礼にと、江夏で起きた反乱を鎮圧しに行く。

張飛や趙雲などの猛将の前では、賊など敵ではなかった。

17ページ、戦にいけるのでとても張飛がうれしそうです。普段着でくつろぐ趙雲はなかなか貴重な姿です。


凶馬

いよいよ劉表の劉備に対する信頼は厚くなっていくが、それが面白くない人物がいた。蔡瑁(さいぼう)と彼の妹(劉表の夫人)だ。劉表には劉キと劉ソウという子供がいて、蔡瑁たちは劉ソウを跡継ぎにしたいのだ。

一方、劉備は劉表に頼まれて、田舎の新野を守りに向かう。

跡継ぎ問題も絡んで、劉備の立場が難しくなっていきます。やはり凶馬の的盧(てきろ)が返ってきたからでしょうか。

伊籍(いせき)の機転がなければ、玄徳の身が危なかったです。


檀渓を跳ぶ

劉備は大宴会の主人を劉表に代わって務めることになった。しかし、蔡瑁が自分を殺そうとしているため、趙雲と300の兵で護衛することに。

蔡瑁は趙雲がいては手が出せない。そこで彼の部下が趙雲を酒に誘って他のところに連れていってしまう。

これを見た伊籍は、劉備にそっと「あなたの命は風前のともし日」だと告げます。

それにしても劉玄徳はのんきというかなんというか…。蔡瑁が命を狙っているのに趙雲に酒を飲めと勧めるのが信じられません。


水鏡先生

なんとか檀溪を渡った劉備だが、何年もの間自分はなにをしているのだ、とうなだれる。そこに、牛に乗った童子が通りかかり、劉玄徳さまですかと尋ねる。

彼は水鏡先生という襄陽で有名な人物の弟子のようだ。劉備は先生に会わせてもらうように頼む。

蔡瑁に何度も命を狙われてきた劉備ですが、いよいよ運命が彼に味方してきたようです。水鏡先生(司馬徽 しばき)は劉備に、先を見通す人材がいないと指摘します。

やはり、曹操や袁紹のようにしっかりした地盤のある人物なら別ですが、劉備のように自分の領地を得てはまた失って、を繰り返していると、なかなか仕官してくれる人もいないのかもしれません。


浪士単福

再び劉備が命を狙われたことに張飛は怒り狂う。部下の勧めもあり、劉備は劉表に蔡瑁が命を狙ったことを告げる。

劉表は蔡瑁に謹慎を命じる。その詫びとして劉キが劉備に謝罪に来るが、そのときに劉キは自分が継母(蔡瑁の妹)に命を狙われていると漏らす。

劉備は、街で大声で歌いながら歩く一人の浪人に注目する。

長い流浪の生活を耐えてきた劉備ですが、いよいよ人材が集まり始めました。単福(たんふく)のみごとな戦略を堪能できます。

単福の歌っていた「明主は」で始まる詩は、「賢明な主が賢人を求めているが、自分のことを知らない」という意味です。つまり、ここに賢者がいるぞ、とアピールしているのですね。

134ページ、趙雲に顔を近づいて激怒する張飛が笑えます。それにしても顔が大きい。

170ページの李典の名言「怖るべき敵を怖るるは決して臆病風ではござらん」。三国志を見ると、こうした慎重な武将でないと生き残るのは難しいと感じます。
20巻のネタバレ有りレビュー

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