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21巻「孔明の出廬」のあらすじと感想

21巻「孔明の出廬」のあらすじと感想

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養子劉封

○あらすじ
単福(たんふく、ぜんふく)の計略にまんまと大勢の兵を失った曹洪たちは、からくも樊城にたどり着いた。

しかし、そこにはすでに関羽の兵が入っていた。

○感想
李典の諫言を聞かなかった曹洪、大失敗です。もちろん空の城に単福は兵をまわしていたわけです。

劉備は樊城の県令、劉泌(りゅうひつ)に意外な提案をします。本当に慎重な彼らしくない気がします。


単福の素性

許都に帰った曹仁軍はあわれな様であった。曹仁は曹操に戦いに負けたことを詫びるが、曹操はそれを咎めなかった。

曹操は、兵力が自軍の1割にも満たない劉備軍に曹洪がなぜ負けたのか疑問であった。

しかし、程昱が単福と同郷であったことから、曹操は単福の正体を知る。

やはり劉備軍が軍師の見事な作戦によって曹操軍を破ると、うれしいんですよね。

曹操も、単福を自軍に加えたいという気持ちはわかりますが、やり口が汚いです。この辺りが中国で曹操は人気がない理由でしょう。

47ページ5コマ目、曹操の名言「ぬぬぬ、この曹操を逆臣というか」。曹操の顔が笑えます。まあ、曹操も丞相(じょうしょう)とは名ばかりで、帝を抜きにまつりごとを行っていますからこう言われても仕方ないと思います。

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偽手紙

新野の徐庶のところに、母からの手紙が届けられた。母は曹操に捕らえられ、息子の徐庶が逆賊・劉備に仕えているということで責められているが、程昱が保護してくれている。

都で一人暮らしているのは寂しいという内容だ。これを読んだ徐庶は、やむなく劉備に暇をもらうように申し出る。

劉備は、親孝行は大事な事だとして快くそれを許す。

程昱の策がみごとに当たってしまいました。劉備もようやく徐庶という優れた軍師を得て、これからというところですから、本当に惜しかったと思います。

それでも徐庶に親孝行をさせてやるために彼の辞職を認めるところは、劉備の優しさを感じます。曹操との対比が印象的なエピソードです。


諸葛孔明

三国志に登場する偉大な軍師・諸葛孔明の生い立ちが語られる。

孔明は比較的恵まれた家庭で育ったが、母親は亡くなり、父は後妻をもらった。しかし、その父も孔明が10歳の時に亡くなった。

ちょうどその頃、黄巾賊の乱が各地で起きていた。洛陽に遊学していた孔明の兄、諸葛謹(しょかつきん)が帰ってきて、洛陽の辺りも戦乱に巻き込まれるかもしれないと言った。

そこで、義母や孔明たちは荊州の叔父、玄を頼った。優秀だった謹は義母を連れて、新天地を求めて呉へと旅立った。

この章を読むと、なぜ孔明が学問に優れていたにも関わらずひなびた村で暮らしていたか、そして劉備を支えて命を削ってまで働いたかがよくわかります。

艱難汝を玉にすという言葉がありますが、まさに戦乱から逃れたときの苦しい体験と、そのとき目にした多くの民の苦しむ姿が、民のための政治を志して懸命に生きた天才軍師を生んだといえます。

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母と子

徐庶は、許都で曹操に面会する。久しぶりに息子と会えて、徐庶の母はとても喜ぶが、なぜ立派な君主である劉備に仕えるのをやめたのかと聞く。

それを聞いて、徐庶はあれが偽手紙だったことを知るのだった。

曹操は自分のために政治をおこなっているのに対し、劉備こそ民のための政治をおこなってくれる仁君だと見抜いていた聡明な母でしたが。

一通の手紙が親子に悲劇をもたらし、また劉備は徐庶という有能な人材を手放してしまったわけです。


孔明を訪ねて

劉備の元を水鏡先生が訪ねた。水鏡は徐庶が母の招きで上京したことを不審がる。

劉備はいよいよ伏竜・孔明に会いたくなり、関羽と張飛を連れて隆中へと向かう。

会いに行ってもなかなか会えない孔明。有名な「三顧の礼(さんこのれい」のエピソードです。

ちなみに意中の人物になかなか会えないというのは、ドラゴンクエスト2でローレシアの王子がなかなかサマルトリアの王子に会えないのを思い出します。

途中で劉備たちは孔明の友人、崔州平に出会います。彼は結局、国が滅びてはまた起こり、戦争が終わってはまた起こるのは自然の理と同じで、劉備や孔明といえどもどうすることもできないと語ります。

人類の歴史は戦争の歴史と言われますが、今の世の中でも戦争や紛争は絶えません。残念ながら、崔州平の語ることが真理なのかもしれない、と思ってしまいます。

それでも苦しむ民衆を見過ごすことはできない、と語る劉備の言葉が胸を突きます。


雪千丈

孔明が在宅という知らせが入り、劉備は再び雪の中を隆中に向かう。村につくと、居酒屋からなにやら詩が聞こえてきた。

さすがの張飛でも雪が降れば寒いんですね(笑)。田舎学者のためになんで雪の中を行かなければいけないんだ、という彼の気持ちはよくわかります。


三顧の礼

二度も孔明に会えなかった劉備だが、あきらめずに再び隆中へ赴く。張飛は納得がいかないようだが、劉備の傍を離れるわけにはいかないとついてきた。

孔明の弟が応対し、今日は孔明がいるという。劉備は一人孔明に会いに行く。

いよいよ孔明に会えるときが来ました。

159ページ、蝶が飛び春の光が差し、群雄割拠の戦乱の世で、ほっとできる1コマです。

164ページ1コマ目、だまってついて来ようとする張飛の顔がかわいいです。

173ページ、孔明の家に火をつけようとする危険な張飛。孔明もまさか自分の寝ている間に張飛に火計を使われるとは思わなかったでしょう。

174ページで張飛が、20を過ぎたばかりの男にここまでしなきゃいけないのかと異議を唱えます。参考文献1によると、このとき張飛は39歳前後ですから、確かに27歳の孔明は若造です。

176ページ5コマ目、何か考えている様子の孔明のほほえみです。おそらく昼寝をしていた自分を起こそうともせず、ずっと待っていてくれた劉備の人柄に思うところがあったのでしょう。


お家騒動

新野の劉備を劉琦が訪れた。彼は劉備に、跡継ぎのことで継母の蔡氏たちに殺されそうだと相談する。食べ物に毒が入っているのだからただごとではない。

劉備は孔明に相談するが、孔明は関係ない者は立ち入らぬこととつれない。そこで、劉備は劉琦にある助言をする。

珍しく劉備が計略を用いています(笑)。それにしても昔は権力者の子供は子供で、下手をすると殺されるのですから大変ですね。

孔明がこの件について冷淡なのは、一つには劉備が劉表の申し出を受けて国を継げばよいという考えがあったのではないでしょうか。劉備は道に背くといって拒みますが、劉備が後を継いで長男の劉琦を守り立てて、親と違って本人はまともな劉琮とも力を合わせれば、劉琦の心配は取り除けたはずです。

いわば、煮え切らない劉備への無言の抗議だったのかもしれません。そして、劉備が荊州を継いでいれば、荊州は曹操もうかつに手を出せない豊かな土地と兵力を持っていましたから、劉備軍にはかなり有利だったはずです。
21巻のネタバレ有りレビュー

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