三国志ラボ » コミック1-30巻のあらすじと感想 »

10巻「徐州の謀略戦」のあらすじと感想

10巻「徐州の謀略戦」のあらすじと感想

スポンサード リンク

Pocket

二虎競食の計

○あらすじ
許昌に都を移した曹操は、自分の部下を要職につけ、政治の実権を握った。

またもや帝はないがしろにされ、旧臣たちは一人除けばまた一人現れる、漢家ももうおしまいかと嘆いていた。

一方、曹操は劉備と呂布が一つのところにいることが気がかりだった。そんな曹操に軍師の荀彧(じゅんいく)がある策を献じる。

○感想
旧臣の嘆きはわかりますね。ただ、黄巾賊の反乱を抑えられず、また董卓のような逆臣が現れるのですから、それほど朝廷の威光が以前から落ちていたのだともいえます。

帝には気の毒ですが、腐った飯を食べされる李かくよりはましだとも言えます。

一方、帝を担いだ曹操としては、好きなように勅命を下し、逆らうものは逆賊として扱えるという特権を手にしました。以降彼は、この手をたくさん使います。

二虎競食の計は、いわば仲間割れをさせて争わせ、傷ついて残った方を第三者がやっつけるという、とても合理的な計略です。

この作戦は現代の政治や企業競争でも使われているのかもしれません。

27ページ、呂布と戦う張飛。豪傑の揃った三国志のなかでもおそらく一二を争う二人の戦いですからすごかったでしょう。

スポンサード リンク


駆虎呑狼の計

策を見破り、断ってきた劉備に対して、荀彧は次の策を述べる。それは、駆虎呑狼(くこどんろう)の計だ。

すなわち、劉備に勅命を下し、南陽の袁術を討つように命じれば、朝廷を重んじる劉備は断ることができない。

その間空になった徐州を、呂布に奪い取らせようという作戦だ。

さすが荀彧、次の手を考えていました。なにしろ曹操は勅命を出すだけですから、孫子の言うように戦わずして勝つという最上の策です。

それにしても劉備軍は3万、袁術軍は10万人ですから、かなり戦力差がありますね。それでも出兵せねばならない劉備は大変です。


裏切り

徐州の守りを張飛に任せた劉備。張飛は大任を果たすべく、酒を絶っていたのだが、部下に勧められてつい飲んでしまう。

それを見とがめたのが文官の曹豹(そうひょう)。しかし完全に酔ってしまった張飛は彼を罵るのだった。

三国志演義がまとめられるまでは、中国で作られた三国志の話で一番人気があったのは張飛だったそうです。大酒飲みで単純、そして超人的な強さを持っている彼は確かに愛すべき人物です。

文武両道で思慮深かった関羽に比べると、張飛は欠点もあるだけにかえって親しみがわく気もします。

しかし、今回はいよいよ張飛の酒癖の悪さが大失態につながってしまいます。

56ページ、酒がうらやましそうな張飛の顔がとても感じが出ています。

64ページ、曹豹の名言「それが酒乱だということがおわかりにならないのですか」その通りです。

68ページ、目の据わった張飛には怖くて近づきたくありません。

スポンサード リンク


撤退

劉備軍は戦力差がありながらも袁術軍に対し有利に戦いを進めていた。しかし、ある夜、劉備軍の陣地に現れたのは徐州にいるはずの張飛だった。

徐州を奪われたことを詫びようと自決しようとする張飛だが、劉備は自分たち義兄弟は互いに欠点があり、生きて恥をそそぐように優しくさとすのであった。

一方、袁術は反旗を翻した呂布軍を使って劉備軍の後方を突かせるという計略を実行する。

正直なところ劉備は戦が下手なことが多いのですが、袁術軍に対して優勢だったのはよくがんばった、と思います。

それにしても来るはずのない張飛が来たことを知り、劉備も関羽も嫌な予感がしたことでしょう。

100ページ、呂布に怒りの視線を向ける劉備の妻と母。ちなみに吉川英治の三国志では、劉備には二人の妻があり、一人目の妻は横山三国志でも1巻に登場する芙蓉姫という設定です。

この頃の中国では権力者にたくさんの妻がいるのが当たり前であり、劉備など妻室と側室の数が少ない方だったと吉川三国志にあります。

115ページの劉備の名言「われわれ三名おのおのがお互いにいたらぬところのある人間だ。その欠点や不足をおぎなってはじめて一体の兄弟といえるのではないのか。

私だって凡人だ。凡人の私がなぜおまえにだけ神のごとき万全を求められるものか。もしきょうのことを恥と思うなら生きてその恥をそそげ。」

劉備は自分の欠点を自覚していたこと、そして部下に寛容であったことは素晴らしいと思います。


蛟竜

袁術が約束を破ったことに呂布は憤慨する。しかし、今の呂布には袁術軍と戦うだけの力がない。

彼の部下は、それよりも玄徳を迎え入れることを進言する。彼も流浪の身のつらさを実感しているはずで、彼を仲間にして袁術と袁紹を倒し、天下の半分を手に入れろというのだ。

呂布の都合の良さには呆れますが、確かに兵の殆どを失い、行き先のない劉備にとってはよい話でもあったでしょう。

袁術は約束を破っても呂布は逆らえないことを見越してああいった約束をしたのかもしれません。


小覇王孫策

父の孫堅を戦で亡くした孫策は、袁術のもとに身を寄せていた。自分の不甲斐なさを嘆いていた彼だが、隠し持つ玉璽(ぎょくじ)を袁術に貸すことで兵馬を借りる。

孫策はその兵を率いて、叔父の呉景(ごけい)を助けるために劉ヨウと戦う。

しかし、敵の要塞は堅固で、このままでは兵力を大きく失う恐れがあった。

久しぶりに違う国の話になりました。なにしろ三国志は登場人物が数百人は下らないので、それだけエピソードがたくさんあります。

やはり孫策の読み通り、袁術は玉璽をとても欲しがりました。彼は帝位につくのが目標ですからね。

孫策が玉璽を持っていると知った時の袁術の顔が素敵です。
10巻のネタバレ有りレビュー

Pocket